星々のリズムに合わせて歴史的な時間の一部となる月の満ち欠け。しかし、現代のカレンダーとはちょっとした相違があります。月の満ち欠けの独自のサイクルは、様々な国の文化や信仰、そして自然の神秘に彩られた古代の暦に根ざしています。今回は月の満ち欠けと暦・カレンダーの関係などについて調べてみました。
目次
月の満ち欠けとは
月は地球の周りを公転する際に、太陽からの光が月の表面に反射することによって変化します。これを「月の位相(いそう)」または「満ち欠け(みちかけ)」と呼びます。これによって月の表面の見え方が変わり、下記のような4つの主要な位相が生まれます。
新月 | 月が太陽の方向に位置し、太陽の光が地球に向けられ、月の表面が夜空では見えなくなります。 |
二日月 | 新月の翌日の糸のように細い月。約20分~1時間程度で沈んでしまいます。 |
三日月 | 太陽がしずむころ、西の低い空に見つかります。 |
上弦の月 | 新月から約1週間後に、月の右半分が太陽の方向に向かって明るく見えます。 |
十三夜月 | 十五夜の月に次いで美しい月といわれています。これから満ちる、縁起のよい月とされています。 |
満月 | 地球から見て、太陽と月が対向する位置にあり、月の表面が完全に太陽光で照らされます。別名「十五夜の月」 |
下弦の月 | 満月から約1週間後に、月の左半分が太陽の方向に向かって明るく見えます。 |
これらの位相は、月の周回周期で約29.5日間で繰り返されます。月の満ち欠けは、夜空の美しさや暦において日々の時間を表現する際に重要な要素として扱われています。
月の満ち欠けと暦の関係
太陰暦・太陰太陽暦(旧暦)
月の満ち欠けと暦の関係についてですが、古代の多くの暦では、月の満ち欠けを追跡し、1ヶ月を「新月から次の新月までの周期」と定義していました。暦には太陽と月の動きに基づいて、時間を区切るための日付や期間が示されますが、月の満ち欠けもその一部です。
現在私たちが使用している「太陽暦(グレゴリオ暦)」が日本で正式に使用されるようになったのは、明治6年1月1日からで、いわゆる新暦と呼ばれています。地球が太陽の周りを公転する周期に基づいており、1年=太陽が黄道面を一巡する期間で、約365.25日です。
対して、月の満ち欠けをベースにした暦を「太陰暦」、太陽と月の両方を考慮して年を区切る暦は「太陰太陽暦」と言います。多くの伝統的な農業暦が太陰太陽暦に基づいており、太陰太陽暦は現在では一般的に旧暦と呼ばれています。
太陰暦は約29.5日の月の満ち欠けの周期で繰り返されます。1年=354~355日となり、実際の1年より11日ほど短くなってしまうため、農耕には不向きですが、新月(1日)と満月(15日頃)の頃は大潮、上弦(8日頃)や下弦(23日頃)の頃は小潮になるというように、月と潮汐は関係が深いので漁業には便利です。
一方、太陰太陽暦(旧暦)では、約29.5日の月の周期とあわせ、太陽の周期も考慮しながら調整されています。このため、通常の太陽暦よりも月の位相が重要視されることがあります。太陰太陽暦(旧暦)では1年=354~355日となり、実際の1年より11日ほど短くなってしまいます。このままでは暦の月と季節が全く合わなくなってしまい、農耕や日常生活にも不都合が生じてしまうため、約3年に1度「閏月」を作り、1年13か月(384~385日)になる年が設けられていました。これによって、暦と季節の関係を調節していたのです。
二十四節気
旧暦での閏年の前後では、同じ月日でも30日近くも季節が異なってしまいます。この不都合を防ごうとしたのが「二十四節気」です。二十四節気は太陽が1年で1周りする道筋を24等分し、冬至と夏至の二至(にし)、その中間の春分と秋分の二分(にぶん)の四つに分かれ、その中間点が立春・立夏・立秋・立冬で、各季節の始まりになります。現在でもカレンダーには季節を示すために二十四節気なども記載されていることがあります。「二十四節気」について詳しくはコチラ。
2024年の二十四節気は下記のとおりです。
小寒(しょうかん) | 1月6日 |
大寒(だいかん) | 1月20日 |
立春(りっしゅん) | 2月4日 |
雨水(うすい) | 2月19日 |
啓蟄(けいちつ) | 3月5日 |
春分(しゅんぶん) | 3月20日 |
清明(せいめい) | 4月4日 |
穀雨(こくう) | 4月19日 |
立夏(りっか) | 5月5日 |
小満(しょうまん) | 5月20日 |
芒種(ぼうしゅ) | 6月5日 |
夏至(げし) | 6月21日 |
小暑(しょうしょ) | 7月6日 |
大暑(たいしょ) | 7月22日 |
立秋(りっしゅう) | 8月7日 |
処暑(しょしょ) | 8月22日 |
白露(はくろ) | 9月7日 |
秋分(しゅうぶん) | 9月22日 |
寒露(かんろ) | 10月8日 |
霜降(そうこう) | 10月23日 |
立冬(りっとう) | 11月7日 |
小雪(しょうせつ) | 11月22日 |
大雪(たいせつ) | 12月7日 |
冬至(とうじ) | 12月21日 |
雑節
二十四節気を補う季節の移り変わりの目安として、雑節(ざっせつ)があります。これは、主に農業や行事、暦の管理に関連する日本の伝統的な暦法において使用されています。土用、彼岸は入りの日付けを示します。季節感や暦の変化を人々に知らせ、農作業や行事、季節ごとの暮らし方に合わせた指針として重要な役割を果たしています。
社日(しゃにち) | 3月25日・9月21日 | 春分、秋分に最も近い戊(つちのえ)の日で、1年に2回ある。春には豊年を祈り、秋には成熟を祝う行事をそれぞれ行います。 |
節分(せつぶん) | 2月3日 | 立春の前日のことで、邪気を払う行事がなされる。 |
彼岸(ひがん) | 3月17日・9月19日 | 春分と秋分の前後の3日ずつの計7日のこと。初日を彼岸の入り、当日を中日(ちゅうにち)、終日を明けと呼ばれています。 |
土用(どよう) | 1月18日・4月16日・7月19日・10月20日 | 立春、立夏、立秋、立冬の前18日間。左記は入りの日。最近では夏の土用だけを指すことが多い。 |
八十八夜(はちじゅうはちや) | 5月1日 | 立春から数えて88日目をいい、種まきの目安の日。霜が降りることが少なくなる頃。 |
入梅(にゅうばい) | 6月10日 | 芒種の後の壬(みずのえ)の日。つゆの雨が降り始める頃。梅雨はそれから31日間とされています。 |
半夏生 (はんげしょう) | 7月1日 | 天より毒気を下す日という。夏至より10日後とされています。 |
十五夜
「十五夜(じゅうごや)」は、日本の伝統的な行事であり、旧暦の8月15日にあたる日を指し、中秋の名月(中秋節)に当たります。この日は古くから日本の伝統的な行事として親しまれており、月の美しさや秋の訪れを感じ、家族や友人とのひと時を楽しむ日として広く祝われています。2024年の十五夜は9月17日です。
イースター
イースター (復活祭) は、イエス・キリストの復活を祝う祭りであり、「春分の日以後の満月より後にくる最初の日曜日」という定義になっているため、毎年日付が変わります。更に西方教会はグレゴリオ暦、東方教会はユリウス暦を基準としているため、2つの教派によってイースターの日が異なる年があります。日本の暦で言うと、2024年のイースターは西方教会では3月31日、東方教会では5月5日となります。
2024年の新月と満月
2024年の新月と満月の時期を調べてみました。中秋の名月は9月17日ですが、いわゆる「スーパームーン」と呼ばれる2024年中の最も近い位置で起こる満月は10月となっています。また、2024年中の最も遠い位置で起こる満月は2月です。ただし、満月の大きさは日ごとに少しずつ変わっていくため、夜空の月を眺めただけでその違いに気づくのは難しいでしょう。
新月か満月は多くは月に1回ですが、月の周期は29.5日のため、月に2回になる場合があります。月の2回目の新月のことを「ブラックムーン」、月の2回目の満月のことを「ブルームーン」と呼ばれています。2024年は12月31日の新月がブラックムーンに該当します。
また、特定の月の満月を指す「ストロベリームーン」と「ピンクムーン」など、これらの名称はアメリカの先住民に由来していると言われており、これにより季節を把握していました。このように日本だけでなく、海外でも月の満ち欠けが暦や季節・生活に大きく関係しています。
新月 | 満月 | 満月の呼び名など |
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1月11日 20:58 | 1月26日 02:55 | ウルフムーン/狼が寒さにより鳴き声を上げることが多い季節 |
2月10日 08:00 | 2月24日 21:31 | スノームーン/雪が多く降る時期 |
3月10日 18:01 | 3月25日 16:01 | ワームムーン/土が解けることによりミミズが現れ、コマドリが戻ってくる時期 |
4月9日 03:22 | 4月24日 08:50 | ピンクムーン/北米では春に花が咲き始め、特にピンク色の花が見られる季節 |
5月8日 12:23 | 5月23日 22:54 | フラワームーン/多くの場所で様々な花が咲き誇る季節 |
6月6日 21:38 | 6月22日 10:08 | ストロベリームーン/アメリカやカナダでイチゴが収穫される季節 |
7月6日 07:58 | 7月21日 19:18 | バックムーン/雄鹿の新しい角が成長し、ビロードのような毛で覆われている時期 |
8月4日 20:14 | 8月20日 03:26 | スタージョンムーン/北米五大湖に生息するチョウザメの漁の最盛期 |
9月3日 10:56 | 9月18日 11:35 | コーンムーン/作物を収穫する時期 |
10月3日 03:50 | 10月17日 20:27 | ハンターズムーン/動物が冬に備えて肉を蓄えるため、狩猟に最適な時期 |
11月1日 21:48 | 11月16日 06:29 | ビーバームーン/ビーバーが冬を越すため川で巣作りを始める時期 |
12月1日 15:22 12月31日 07:27 | 12月15日 18:03 | コールドムーン/寒さが一層厳しくなる時期 |
※満月の呼び名やその意味合いは、文化的な背景や地域によって解釈が異なる場合があります。
月食とは?
地球と月は太陽の光を反射して輝く天体であり、地球は太陽の光によって、太陽とは反対の方向に影が伸びています。太陽・地球・月が一直線に並ぶ満月の頃に、地球の影の中を月が通過することにより、月が欠けたように見える現象が「月食」と呼ばれています。ただし、太陽の通り道と月の通り道は傾いているため、満月のたびに月食が起きるわけではありません。
2024年は日食が2回、月食が1回ありますが、残念ながらいずれも日本では見られません。次に日本で月食が見られるのは2025年3月14日と9月8日の皆既月食です。月食は肉眼での観察でも、満月が地球の影によって刻々と欠けていき、完全に影に入って「赤銅色」となり、その後また復円する様子が十分に楽しめます。
2024年版月の満ち欠けが分かるカレンダー カレン堂人気ベスト3
カレン堂で2024年の月の満ち欠けが分かるカレンダーの中でも人気の高かったベスト3をご紹介します!
1
NK-169
月暦
月の満ち欠けだけでなく、大潮の表記されており、潮の干満時刻表示が便利です。月の呼び名や言葉のためになる情報付。
2
SG-9150
月輝ーつきー
月の満ち欠けを金箔で表現した豪華なカレンダーです。表紙の裏ページには月名の由良解説も掲載されています。
3
TD-261
卓上L・ちょっと和なかれんだー
季節を身近に感じる、二十四節気や月の満ち欠け入り。裏面にはメモスケジュールや年表もついています。
月の満ち欠けと暦が深く関係しているところから、カレンダーでも月の満ち欠けをテーマにした商品はいくつかございます。下記の「SP-409 卓上 ムーン」や「NZ-602 卓上 月の満ち欠け」なども人気です。デザインやサイズなどもそれぞれ異なりますので、是非好みのカレンダーを探してみてはいかがでしょうか?
SP-409 卓上 ムーン
NZ-602 卓上 月の満ち欠け
TD-276 卓上L・ルナ〜月ごよみ〜
TD-955 ルナ~月ごよみ~
まとめ
いかがでしたでしょうか?月の満ち欠けは自然のサイクルであり、現在の暦や、文化・宗教などに影響を大きな与え、古くから人々の時間の理解に貢献してきました。
現代のカレンダーと月の満ち欠けの関係は、自然の神秘と人類の歴史が交差する場所であり、未だに深い関心を持たれていると言えるでしょう。
※本コンテンツは、名入れカレンダー専門店カレン堂(運営:シティライフ株式会社)スタッフが独自に調査しまとめた内容となります。最新版の商品・情報などと多少の差異がある場合がございますので、何卒ご了承くださいませ。また、モニターの発色具合によって実際の商品と色が異なって見える場合がございます。